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Komorebi Houseおすすめ絵本や昔話の紹介ブログ。
将来の夢の絵本店の名前をブログ名にしました。 子どもにも大人にも喜んでもらえる絵本の店が理想です。 木漏れ日の下でほっと一息、ついていって下さい。 |
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6月の童話:『白いぼうし』
[ 児童書 ]
JUGEMテーマ:児童文学 六月の初旬になると読みたくなる童話に 『白いぼうし』 があります。 国語の教科書にも載っていたお話しで、内容を聞くと「あぁ、あのお話し…」と、思いだす方も多い、とても印象的なお話しです。 「これはレモンのにおいですか」 「いいえ、夏みかんですよ」 という 書き出しの6月初めの時期の物語。 タクシー運転手の松井さんは、昨夜、田舎のお母さんが速達でもぎたての夏みかんを送ってくれたことや、嬉しくて一番大きなみかんをタクシーに乗せてきたのだと、質問した乗客に話します。 お客さんが降りたあとで外を見ると、車道近くに白いぼうしが落ちているのが、目に入ります。 ぼうしが飛ばないように移動しようと松井さんがつかんだとたんに、中からモンシロチョウが飛び出します。 幼稚園名と男の子の名前の縫いとりがしてあるぼうしを手に持ったまま、途方に暮れる松井さん。 その子が戻ってきてチョウが逃げてしまったとわかったら、どんなにがっかりするだろうと考えた松井さんは、車に戻ると夏みかんを持って戻り、ぼうしをかぶせて、つばを石で押えてから、立ち去ります。 車に戻ると女の子がタクシーに乗っていて、「なの花よこちょう」まで行きたいと言います。 松井さんはお母さんと一緒に虫取りあみを持って近づいてきた男の子が、その後どうなるかと想像しながら車を出します。 途中でたくさんのチョウが飛んでいる一角に来たら、女の子の姿は消えていて、どこからか「よかったね」「よかったよ」という、シャボン玉がはじけるような小さな声が聞こえてきたというストーリーです。 夏みかんの香りが漂ってくるような大好きな作品で、6月初めに大人向けに読んでみたところ、大変好評でした。 空色のタクシーと運転手の松井さんの物語が収められた「車のいろは空のいろ」は、優しいファンタジーが一杯の童話集です。
『わたしのおかあさんは世界一びじん』
[ 児童書 ]
JUGEMテーマ:児童文学 母親を主題とした本として印象に残っている本の一冊に、『わたしのおかあさんは世界一びじん』 があります。 これはウクライナの昔話を元にした物語です。 6歳の女の子ワーリャは、刈り入れが終わった後のお祭りの準備に忙しい時、畑の中で休んでいるうちに眠ってしまいます。 目を覚ますとおとうさんもおかあさんもいません。 迷子になってしまったワーリャのおかあさんを探すために、名前を聞くとワーリャの口から出た言葉は、 「わたしのおかあさんは 世界一美人」 それを聞いた村人は、村中の美人な女性を連れてきます。 でも、その中にワーリャのおかあさんはいません。 その時にワーリャを見つけて駆け寄った、おかあさんは…。 日本の諺「あばたもえくぼ」と似た、ウクライナの諺を村長さんが言います。 「きれいだから 好きなのではない。好きだから きれいに見えるのだ」と。 ユーモアがあって笑えるお話しであると同時に、ほろりとさせられるお話しです。 子どもにとっておかあさんは、こんなにも大きな存在なんだなと、思わされます。 小学校低学年くらいからが対象ですが、読んであげれば、それ以下でも理解できます。
『ぼくのじしんえにっき』夏休みに是非、親子で!
[ 児童書 ]
JUGEMテーマ:児童文学 今日の明け方、静岡県を中心に、広い範囲で強い地震がありました。 東海地震ではないというものの、一昨日の夕方にも地震があり、震源地近くにお住まいの方々は不安が大きいのではと思います。 いつ、大地震が起きてもおかしくない日本に住んでいるのですから、 日頃から、お子さんと地震が起きた時の事を話しあっておくことも大切ですよね。 今日は、そんな時のために、是非、親子で読んでみてはと思い、『ぼくのじしんえにっき』という、童話を紹介します。 この童話は「福島正実記念SF童話賞」という、公募の童話の第6回目の受賞作品が出版されたものです。 「福島正実記念SF童話賞」といえば、第8回目の時に、『天才えりちゃん金魚を食べた』という童話で、当時6歳の竹下龍之介君が大賞を受賞したことで、話題となった公募です。 大賞受賞作は岩崎書店から出版されるとあって、童話作家志望の人にとっては、憧れの童話賞でもあります。 『ぼくのじしんえにっき』は、ぼくの夏休みの絵日記形式で書かれています。 子どもの絵日記ですから、文章も率直で、実際にぼくが体験したことを、ぼくの言葉で綴っています。 淡々と子ども目線で書かれているからこそ、かえって恐怖や人間のエゴ、そして、大惨事と向き合っていく人々のことなど、ハッとさせられるものがあります。 天才えりちゃんの前の作品なので、えりちゃんの時ほど話題にはなりませんでしたが、是非、夏休みに親子で読んでみて下さい。 決して、暗いだけの恐いだけの作品ではありません。 対象は小学校中学年くらいですが、それ以上の年齢でも、大人でも感じるものが多い童話です。
金色の窓:『岡の家』
[ 児童書 ]
先日以来、カバのカバンの童話を検索してみましたが、今でも見つけられません。
何かの機会にふと、分かるといいなと思っています。 ただ、これがきっかけとなり、昔読んだ本(作品)で、気になっているけれど、題名が思い出せないお話しを、検索してみる事にしました。 そのひとつが、「金色の窓」のお話しです。 覚えていたのは、確か、教科書に載っていたお話しだったということと、貧しい家の男の子が、山の向こうの遠く離れた家の金色に輝く窓をいつも、憧れて見ていたこと。 ある日、その家を訪ねて行くと、その家の窓は普通のガラスの窓で、そればかりか、そこからは、男の子の家の窓が金色に見えたということです。 このお話しは、検索したらすぐにわかりました。 鈴木三重吉さんの『岡の家』というお話しでした。 『金色の窓』じゃなかったんだ…。 ちょっと、びっくりしたのは、私はこのお話しを海外のお話と思っていたことです。 男の子が森を歩いて行く場面や、パンを食べるシーンが、『ヘンゼルとグレーテル』を思いださせたのでしょうか パンを小鳥たちが食べるように撒いておいたことが、印象に残っていたからかもしれません。 あるいは、金色の窓の家のつもりで訪ねた家の女の子の髪の色のせいかもしれません。 日本の童話だったことは意外でしたが、それ以外のストーリーは、記憶にある懐かしいお話しでした。 金色に輝く窓というのが、とても魅力的だったことと、『青い鳥』に通じるものがある、近くにある幸せはなかなか気づきにくいものだという事に、感動を覚えて、心に残っていた物語です。 物語はこちらで読めます。⇒ 鈴木三重吉 「岡の家」
ねずみ女房
[ 児童書 ]
JUGEMテーマ:児童文学 この一冊の児童書との出会いは、私にとって衝撃的でした。感動した児童書、考えさせられた児童書は沢山ありますが、この本は最も衝撃を受けた児童書の中の一冊といえます。 この本の作者の他の代表作に「人形の家」という、童話があります。「人形の家」といえば、イプセンの戯曲を思い浮かべる方が大半だと思いますが、ゴッテンの作品は子どもが遊ぶ人形とその人形たちの家のお話しです。 『ねずみ女房』の主人公は、雌の家ねずみです。住んでいる家が世界のすべてで、家の外に出た事はありません。産まれてきた子どもたちと夫のために餌を探しまわるのが日課の雌ねずみは、何が足りないのかはわからないけど「満たされない何か」を感じていました。夫はそんな雌ねずみの考えが理解できません。 そんなある日、雌ねずみはねずみの住む家の子どもが捕らえた鳩が鳥かごに入れられているのを見つけます。雌ねずみは次第に鳩と言葉を交わすようなります。鳩は自由であった時に住んでいた世界の話をしてくれました。木の葉のざわめきや風の匂いなど、雌ねずみの知らない世界! 生きている意味がないと、餌を食べない鳩はみるみる、弱っていきました。空を飛ぶという意味も知らない雌ねずみですが、鳩が居るべき場所はここではないと、悟ります。 雌ねずみは渾身の力を込めて鳥かごの鍵を開けて、鳩を逃がします。もう二度と鳩と会えなくなることがわかっていたのに…。(表紙の絵の場面です。) これは、ねずみと鳩の友情物語だとか、不倫の話しじゃないかという、意見を聞いたこともあります。でも、私はもっと奥の深い物語だと思うのです。成長であり、自立であり、生きる力であると思います。 鳩が逃げた後で、雌ねずみは初めて星を見たのです ねずみは鳩に話してもらわなくても、自分で星を見られたことで、自分の力でできる喜びと誇りを感じたのではないでしょうか。 雌ねずみはそれからも、他のねずみたちと同じ生活を続けますが、みんなとはどこか違っていました。 最初にイプセンの事を書いたのは『ねずみ女房』がイプセンの『人形の家』と、似たもう一つのテーマを持っているような気がしたからです。主人公のノラも家の中で満たされない思いを持ち、彼女は最後に家を出ます。だから、ゴッテンは同じ題名の本では違うテーマのストーリーを書き、『ねずみ女房』で、ノラとは違う選択をした女性像を描いたのではないのかと、考えたりもしました。 子どもが幼い頃に出会った『ねずみ女房』は私にとって、主婦の生き方を考えさせてくれた本でもありました。子育て中のお母さんが子どもと一緒に読んでみるのもいいかもしれません。
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